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k-masui.comのブログ記事

『映画屋残酷物語未来編役者地獄』 作品解説

2013.05.13  [No Comments]

『映画屋残酷物語未来編役者地獄』

1980年 8ミリ カラー 20分

★概要
自分の監督した映画の中で一番色んな場所で上映された8ミリ映画です。
一番の理由は短編だからです。
自分の監督した映画は60分以上ある作品が多かったので、映画祭などでは時間枠の
問題でプログラムに一番組み込みやすいからなのか、結局この作品に決まることが
多かったです。

『夢来ユキ』と言う長編の撮影が色んな問題で中断したときに、
気分を持ち直すために
楽しんで作った作品です。
映画のスタイル的には『王将餃子deムービー』に対するオマージュの要素が濃く出てます。
永島 慎二さんの『漫画家残酷物語』と言うマンガ好きで映画で
『映画屋残酷物語シリーズ』を作ろうと思って
考えたシリーズ1本目の映画です。
zannkoku02
★内容
基本はコメディーです。

未来の社会では映画はリアルさを求められて、
役者は死ぬシーンでは本当に死なねば
なりませんでした。
死ぬ事を恐れた役者達は皆、身を隠してしまいます。
そして、役者を亡くした映画界は映画を作れなくなり、
世の中から映画が消えてしまいます。
世間の人々は映画が消えてしまった事に怒り、
悲しみ、映画の復活を望みます。

そこで秘密役者探査人GEP(ゲップ)と言う紅い帽子に
黒マントの4人組のグループが
登場!
隠れてた役者達を次々と捕まえていきます。
あるミュージカル俳優は逃げ切れるのに、
ギターを演奏されて、思わず踊ってしまい、
その隙に捕らわれたり、
スパーマンを演じてた役者は
スーパーマン並みの強さを発揮して
GEPを圧倒するのですが、GEPの取り出した、
十字架に苦しんで捕らわれてしまします。
彼はスーパーマンも演じてましたが、
その前は吸血鬼役で有名な役者だったのです。
このように、役者達は過去に演じた役に縛られて捕まってゆくのでした。。
なんでやぁなんで役者がこんな目にあわないかんのやーと言う役者の雄叫び!
に悲しく夕陽が沈んでゆきます。。
そして、ラストはやくざの様なスカウトマンが街を歩く若者をおだてて、
役者に仕立てようとしてます。
そしておだてに乗せられてニッコリ笑う若者に顔に
役者の叫びに答える声
『それは、こんなアホがおるからやー』が聞こえて来て。
ラストタイトルになります。
ラストタイトルは車の多いバイパス道をプラカードを持った男が遠方から歩いて来る姿と
タイトル文字がカットバック、そこのオリジナルソング『ああ役者地獄編』が流れます。
最後はやっとカメラ前に来た男がプラカードを見せると
『監督・脚本 増井公二』と書かれており

ニッコリ笑ってる男にクリームパイがぶつけられて終わります。
(男は監督の増井です。)

★解説と制作の裏側

高校卒業後すぐに次回作品の準備にかかります。
まずは資金確保の為にバイトを始めて、それと平行して、
シナリオを書き始めます。
その時の企画は文化祭の時に上映されて、
評判の良かった他クラスの映画のヒロイン
沖本尚子さんに主演してもらう事からスタートしました。
3年で転校して来て、
そのキュートさで一躍学校の人気者になった女の子です。
そして、卒業後に知り合った西田俊也さん
(当時は学生ですが、現在は小説家として活躍されております。『ラブ・ヒストリー』他)
と意気投合してシナリオを共同で書くことになるのですが、このシナリオがかなり難航します。
10稿ぐらいまで書いたのではなかったかと記憶してますが、
考え過ぎてわけわからん事に
なってしまってました。
とにかく、僕以外のメンバーは大学生だったので、
夏休みに撮影を開始するのですが
問題満載で撮影途中で中断する事になってしまいます。
そして、ちょいと落ち込むのですが、
映画はづくりはやっぱり楽しくなくてはいけないと
気を取り直して、楽しみながら作れる短編を急遽作る事にします。
そして数日でシナリオ書き上げて、
休日を利用して、撮影したのが、この映画です。
衣装や美術の作り物は、ほとんど自分で制作して、
特にスタッフもいなくて
カメラも自分でやりました。
とにかく現場のノリを大切にして、
ガンガン撮影を進めて撮ったと思います。
編集もテンポを大事にしてぽんぽん繋いでいきました。
zannkoku01
★オリジナル音楽
こうして映画は完成へと向かって行ったのですが、
この時、誰が書かれたコラムか忘れてしまったのですが、
映画の音楽をつける時、既成のヒット曲や名曲を使うのはずるいのではないか?
と言う内容のコラムを読みました。
確かに只真っ黒な画面にクラッシックの名曲を流しただけでも
良い雰囲気が出来上がってしまいます。
その名曲に何かしらの思い入れがあって、
その曲を使うならまだしも、オリジナル曲が作れないから、
有り物を探して使うのは、ずるいかもしれんと思いました。
運よく、その時バイト先の同僚に音楽をやってる方がいたので、
相談してみると1曲ぐらいなら作っても良いよぉとのお言葉頂いたので、
早速ある役者が鬼監督に酷い目に合うが、
役者を続けてしまうんだよ~と言った内容の歌詞を書いて渡しました。
すると1週間後には素敵なラストソングが出来上がってきました。
タイトルは『ああ役者地獄編』
この頃は今と違って個人が持てる録音設備は良くて
4トラックぐらいのオープンデッキしか
なかったのですが、この方はひとりで演奏して多重録音を駆使して、
見事に編曲された完パケを作ってくださいました。
自分の作った映画の為に楽曲が出来てくると言うのは思っていたより快感で、
これ以後つくる映画は全編オリジナル曲にこだわって作るようになっていきました。
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★後日談
こうして、自分が楽しむ為に作ったこの映画は何故かウケが良くて、
あちらこちらで上映してもらえました。
初めて映画館で上映されたのも(池袋の文芸座)この8ミリだったと思います。
素人ばかりが集まってつくる場合、プロのマネをして作っても
マイナスになる事が多いのだなぁと
気づかしてくれた作品になりました。
この考え方は後の作品全部に影響を及ぼしていく事になります。
元々はプロの映画に憧れて作り始めた映画づくりでしたが、
素人映画には素人映画の
やり方があるのだから、
それを追求してみようとか思ってしまったのです!!

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